東方project レミリア・スカーレット編

「」・・園町 恋斗
           (そのまち れんと)
《》・・十六夜 咲夜
           (いざよい さくや)

「ふぁ〜〜……」

朝になって目が覚める
「もう朝か……あー……」
どうも朝に弱い俺はしばらくぼーっとしていた
「…っは!いかんいかん」
再び寝てしまいそうになるがなんとかこらえる
顔を洗い歯を磨き 仕事着に着替え
「…よし!」
気持ちを切り替え 今日もこの紅魔館の主を起こしに行く

コンコンコン

レミリアお嬢様ー、起きてますか?」
反応がない。どうやらまだ寝てるみたいだ
「失礼します。」
ドアを開ける
『すぅ……すぅ……』
少し大きめのベッドで寝ている彼女
この紅魔館の主であるレミリア・スカーレット
「お嬢様、朝ですよー」
『…ん……んー……』
何度も見ている寝顔  とても本人には言えないがものすごく可愛い
「……っと、見とれている場合じゃないな」
仕事中だということを思い出し 再びお嬢様を起こす
「お嬢様、朝ですよ。起きて頂けませんか?」
『んー…………』
どうやら呼びかけだけでは起きてくれそうにもない
「お嬢様ー、お嬢様ー、起きて下さーい」
軽く揺する  この方法で起こすのはあまり気が進まない
なぜなら

『……ん』
「うわっ!」
揺すっていた腕を捕まれ引き寄せられる
   そして
『……カプッ』
「ぎゃあぁぁぁーーー!!!」

首筋を噛まれるからだ
呼びかけだけで起きる時もある
が   そうでない時はこうして揺する
揺すって起こす時  たまにこうして首筋を噛まれるのが辛い

咲夜さんに噛まれた所の治療をしてもらいながら紅魔館で働く前の事を思い出す


散歩の途中 俺はあるものを見て足を止めた
「アルバイト募集してるのか。なになに、紅魔館ってところで住み込み1日3食付きかぁー。…やってみようかな?」
俺は早速紅魔館に電話して話を聞いてみた
面接は明日行うとのことで 俺は必要な物を揃え明日に備えた
そして翌日
里から離れていて 道中危険だという事もあり  十六夜 咲夜さんという方に迎えに来てもらった
面接は意外にもすぐに終わり  なんと採用された
勤務は明後日からだ
仕事着は支給されるそうなので予め用意しておく必要はないみたいだ

勤務当日
里から紅魔館まで案内してもらい  仕事の内容を大まかに説明されマニュアルを渡された
それから
《私のことは咲夜で構いませんよ》
と言われたので  流石に呼び捨ては失礼だと思い俺は咲夜さんと呼ぶようにした
日々咲夜さんに指導され  働き始めてから10日ぐらいたった日 咲夜さんに言われた
《あら、教えていませんでしたっけ?レミリアお嬢様とフランお嬢様は吸血鬼ですよ》
「……は?」
やけに子供っぽいお嬢様だと思ってた
本当にただの子供だと思っていたその子たちの正体はまさかの吸血鬼だった
しばらく固まっていた俺に咲夜さん
《心配しなくても大丈夫ですよ。普通にお話も出来ますし……でも…》
「…でも?」
《あなたは来てまだ日も浅いですから。寝起きとか、もしかしたら噛まれるかもしれませんね》
ふふっと咲夜さんは笑みを浮かべる
《なんて、冗談ですよ》
「あはは……」
サクッと殺られる日が来ないことを祈りながら今日もお仕事に励むのだった


《大丈夫ですか?》
「いてて…大丈夫ですよ。慣れ…はしませんけど、これでレミリアお嬢様が起きて下さるならそれでいいですから」
《まぁ、頼もしいですね》
治療が終わり朝食のお手伝いをする
咲夜さんは結構早起きで  俺がレミリアお嬢様を起こす時間にはもうある程度調理を済ませてある
準備が整ったので再びレミリアお嬢様を呼びに行く

コンコンコン

『誰?恋斗?』
「はい、朝食のご用意が出来ました」
『分かったわ  ありがとう。それと……』
「はい?何か?」
『今朝はごめんね…またやっちゃった……』
「気にしないで下さい。私は平気ですので」
『そ、そう?』
「はい。ではリビングでお待ちしております」
『うん、すぐに行くわ』

リビングに集まるメンバーは
咲夜さん  レミリアお嬢様  フランお嬢様
   それと
「あれ、パチュリー様は?」
パチュリー様は体調が悪いので部屋で寝ております》
『咲夜、恋斗 おはよう…』
まだ眠いのか 目を擦りながら降りてきた
【お姉様おはよー】
フランお嬢様は元気よく降りてくる
「おはようございます。フランお嬢様」
【あ、恋斗お兄ちゃん!おはよー♪】
挨拶をしながら抱きついてくる
「あはは、今日もお元気そうで」
【元気元気〜♪】
フランお嬢様に抱きつかれるのはレミリアお嬢様に首筋を噛まれる日よりかは多い
『むぅ……』
フランお嬢様に抱きつかれてる時
レミリアお嬢様は少し不機嫌で寂しそうな表情をする
《フランお嬢様、程々にして下さいね。さ、準備も終わりましたので頂きましょうか》
みんな席に着き朝食を摂る

食事の後はお昼まで紅魔館内の掃除だ
俺が来る前は精霊とかに手伝わせていたらしいが  ほとんど役に立たなかったらしい
今は咲夜さんと俺  2人だけで掃除している
掃除は午前中だけでは終わらない  なぜなら紅魔館が広すぎるからだ
咲夜さんの便利な能力については咲夜さん本人から聞いた
これだけ広いと時を止めて掃除したとしても相当苦労するだろう
俺が来てからはまぁなんとか1日で終わるようになったとか(咲夜さんは多分止めているであろう)


『んー…お昼までは暇ね。散歩にでも……恋斗は、誘ったら来てくれるかしら…』


あらかた掃除も終わり 部屋で休憩していると

コンコンコン

「はい?」
『私、だけど…』
レミリアお嬢様?どうかされましたか?」
ドアを開け 部屋に入れる
『あのさ、これから散歩に行こうと思うんだけど…恋斗も来る?』
恥じらいながら言うその姿はとても可愛らしい
『だめ…かな?』
とどめは上目遣いときた
「い…いえ、それでは予定を咲夜さんに聞いてきますので少しお待ちください」
『ん…』

10分後

「戻りました」
『ど、どうだったの?』
「大丈夫ですよ。散歩、行きましょうか」
『う、うん!ありがとう!』
よっぽど嬉しかったのか  とても幸せそうな笑顔だ
『日傘取ってくるね』
「はい。では門の前でお待ちしてますね」

5分後

『お待たせ』
「それでは行きましょうか」


特に会話もなくお互い歩く
『……』
(つい勢いで誘ってしまったけど、何を話せばいいのかしら?……誘ったのは私だし、私から何か話さなくちゃ!)
『えと、今日はいいお天気ね』
「ええ、そうですね」
『……』
「……」

(……なんか違う。もっとなんかあるでしょ私!えーと……)
『ウチでのお仕事はもう慣れた?』
「ある程度ならなんとかこなせますが、まだまだ咲夜さんのようにはいきません」
彼は苦笑する  咲夜のように仕事が出来ないのが恥ずかしいのか悔しいのか  そんな表情をしている
『べ、別にあなたが必要ないって言ってる訳じゃないのよ!』
私は恋斗の曇った表情を見たくなかった
レミリアお嬢様…ありがとうございます」
彼は笑顔でそう言った
私はいつからだろうか  恋斗の嬉しそうな  幸せそうな笑顔が好きになっていた
そしてその笑顔を私だけに向けてほしい
そう思うようになった
『ほ…ほら、行くわよ!//』
そんな事を考えてるうちに恥ずかしくなったので彼の手を取り歩き出す
「っ!//」
ちらっと振り返ってみると恋斗の顔は少し赤くなっていた
その後も話をしながら散歩を続けた

レミリアと恋斗は紅魔館に戻るまで手を繋いだままだったのは美鈴に指摘されるまで気づかなかったそうだ


午後の仕事も終わりあとは部屋で寝るだけだ
「ふぅー……あー、なんかまだドキドキしてるなぁ〜」
午前中の散歩の時 レミリアお嬢様から手を繋いできたときは驚いた
「余計な事考えてないで明日に備えるか…」


「ふぁ〜……さて今日も頑張りますか」
顔を洗い歯を磨いて仕事着に着替える
「よし!」
最後に気持ちを切り替え 今日もレミリアお嬢様を起こしに行く

コンコンコン

レミリアお嬢様ー」
反応がないということはまだ寝てますね
「失礼します。」
『すぅ……すぅ……』
寝顔がとても可愛い 夢の中で良いことがあったのか とても幸せそうな顔をしている
「あー、いかんいかん」
見とれている場合ではない
「お嬢様ー、朝ですよー」
『ん……』
呼びかけても起きそうにない
  ということは  
  覚悟して揺すってみる
「お嬢様、お嬢様、起きてくださーい」
『んー……』
「うわっ!」
やはり腕を掴まれ 噛まれるのを覚悟する
次の瞬間
『…ん』
「んっ!?」
痛みではなくとても柔らかい感触が伝わってくる
目を開けてみると
「!?」
レミリアお嬢様とキスしていた
少しして開放されると同時にレミリアお嬢様の目が覚める
『…え?恋…斗?』
お互いの顔の距離は数センチ
「お、おはようございます」
俺はいつもと変わらない表情を保ちつつ挨拶をする
『え?……えーーー!!』
「お、お嬢様?」
『えと……私、恋斗に何かした?』
「あは、あはは…」
俺は笑うしかなかった

 《あら、恋斗さん顔が赤いですね?熱でもあるのですか?》
「い…いえ、大丈夫です。元気ですよー」
《そうですか?無理はしないで下さいね》

料理を乗せた皿を運び終わると
【おに〜ちゃん!おはよ♪】
「おわぁ!」
後ろからフランお嬢様が抱きついてくる
「おはようございます、フランお嬢様」
【えへへ〜】
「あのー、スキンシップは構わないのですが、突然抱きつかれると私が支えきれなくてお怪我をされるかもしれないので注意して下さいね」
【はーい♪】
レミリアお嬢様が降りてきた
『あ……』
「お、おはようございます。レミリアお嬢様」
『う、うん。おはよ…』
少し前にあんな事があったばかりだ
お互いぎこちない挨拶をする
【んー?】

長い廊下を掃除中 俺はぼんやりしていた
【あ、恋斗お兄ちゃん】
通りかかったフランお嬢様に声をかけられた
「フランお嬢様、どうかされましたか?」
【お姉様と何かあった?朝様子がおかしかったから】
「いえ…何もありませんよ」
【そう?】
「はい」
【ならいいんだけど、それより今から遊ぼうよー】
「すみませんが今はお仕事中なので」
【ちょっとぐらいいいじゃん】
「今度時間が空いた時は遊びに行きますので」
フランお嬢様の頭を撫でる
【うにゅ〜〜♪】
頭を撫でるとフランお嬢様は幸せそうな顔をする
【んー、分かった。また今度にするね!】
そう言ってフランお嬢様は去っていった
「色々と考えても仕方ないよな……」
止まっていた手を動かし掃除に勤しんだ


昼食後 自分の部屋を掃除していると

コンコンコン

「はい?」
『恋斗……』
「レ、レミリアお嬢様?どうかされましたか?」
部屋へ入れる
『き、今日もさ、お散歩行かない?一応昨夜に許可を貰ったんだけど…』
「は、はい。喜んで」

お互い軽く準備を済ませ紅魔館を出る
少し歩いたところで
『ん…』
レミリアお嬢様が手を差し伸べてきた
『……』
顔を赤くして上目遣いでこちらを見てくる
俺は差し出された手を取る
『ふふっ♪』
手を取るとレミリアお嬢様は笑顔になる
お互い少し顔を赤くしながら歩いていく

しばらく歩いたところで
『少し疲れたわ。この辺で少し休憩しましょ』
「はい」

俺の隣にレミリアお嬢様が腰を下ろす
『……ねぇ』
「はい?」
『昨日さ……恋斗に別に必要ないって訳じゃないって私言ったわよね?』
「あの時はとても嬉しかったです」
『私にはさ、貴方が必要なの。だからこれからも私の側に居てちょうだい//』
「はい、今後ともよろしくお願いしますね」
レミリアお嬢様は顔を赤くしながら
『その…毎日仕事を頑張ってる恋斗にね…ご褒美があるの』
「何でしょう?」
『ちょっと…ね。目をつむって』
そう言われ目をつむる
次の瞬間
『んっ……』
「っ!?」
レミリアお嬢様にキスをされた
唇が触れる程度のキスだった
「え…えと、レミリアお嬢様?」
『私ね、あなたの事が好きなの!//』
「…え?」
『最初はさ、咲夜が連れてきた普通の人間としてしか見てなかったけど、一緒に生活しているうちに…話しているうちにだんだん気になってきて…気が付いたら好きになってた//』
レミリアお嬢様…」
俺も始めはなんとも思っていなかったが
話しているうちにレミリアお嬢様の事が気になっていた  レミリアお嬢様は俺の事なんて全く気にしてないと思っていたので このような展開になるなんて想像もしていなかった
告白される事なんて無いと
『…返事』
「へ?」
気が動転してしまい間抜けな声が出てしまった
『返事を聞かせてちょうだい』
俺はそっとレミリアお嬢様抱きしめる
「俺も…レミリアお嬢様が大好きです」
『ありがとう…』
レミリアお嬢様も俺を抱きしめてくれる
『これからもずっと側に居てね!』
「はい!」

レミリアお嬢様とお付き合いを始めてから少し経ったある日の朝

コンコンコン

レミリアお嬢様ー、朝ですよー」
やはり返事がない
「失礼しますね。お嬢様、朝ですよ」
『んー、もう朝?』
「そうですよ。起きてください」
『んー』
「お嬢様?」
『んーんー』
「…しょうがないですね」
付き合い始めてからの朝  レミリアお嬢様はおはようのキスを求めるようになった 
「…ん」
『ん…』
「おはようございます。お嬢様」
『えへへ、おはよ♪』
「ほら、起きてください。朝食に間に合いませんよ」
『ま、まだ!もう少しだけ…いい?』
上目遣いで見つめてくる
こうされるのが弱いと 多分レミリアお嬢様も分かってると思う
「…少しだけですよ?」
誘惑に負け 再び唇重ね合う


《遅いわねー。恋斗さんは何をやってるのかしら?》
いつもならもうとっくに来ているはずなんだが  降りてくる気配もない
《仕方ないですね…様子を見に行きますか》

コンコンコン

返事がない
レミリアお嬢様ー?…失礼します》
咲夜はドアを開ける
《いい加減起きて……》
「…あ」
『へっ!?』
レミリアと恋斗はキスの真っ最中だった
《あー……朝食は準備しておりますのでどうぞごゆっくり…》
ドアが静かに閉められる
「『………』」
『咲夜に…見られちゃったね』
「あはは……」
『まぁ……別にいいじゃない』
「そうですか?」
『私たち愛し合ってるんですもの。どうせ咲夜がみんなに言うと思うし、むしろこのままみんなに自慢しちゃいましょう!』
「で、ですよね!今更隠していても仕方ありませんし」
『うん!』
レミリアお嬢様が抱きついてくる
『これからも、この先もずっとあなたのことを愛しているわ』
「俺もですよ」
そしてお互いの愛を確かめるように唇を重ね合うのであった